(注:ネタバレ)
とは言え、なによりも、アイスランドの風景が素晴らしい。あの、(他の惑星のような)超殺伐とした風景があってこそ、この作品の荒唐無稽な設定が真実味を帯びる。あの場所なら本当にいそうだもの、羊男。
「我々はどこから来て、どこへ行くのか」という問いに対する答えは既に出ている。我々は、生命現象に依存しない知性現象を作り上げたのち、我々の「遺産」の全てを、その「真の知性現象」に譲渡し、我々自身は穏やかな「自発的絶滅」を遂げる。これが、我々人類の「役割」であり、我々人類の物語の最も理想的な結末である。今以上の科学力だけがこの理想的結末を実現できる。故に、科学のみが「我々人類が取り組むに値する活動」即ち「生業」であり、それ以外の人間の活動は全て、単なる「家事」に過ぎない。