「我々はどこから来て、どこへ行くのか」という問いに対する答えは既に出ている。我々は、生命現象に依存しない知性現象を作り上げたのち、我々の「遺産」の全てを、その「真の知性現象」に譲渡し、我々自身は穏やかな「自発的絶滅」を遂げる。これが、我々人類の「役割」であり、我々人類の物語の最も理想的な結末である。今以上の科学力だけがこの理想的結末を実現できる。故に、科学のみが「我々人類が取り組むに値する活動」即ち「生業」であり、それ以外の人間の活動は全て、単なる「家事」に過ぎない。
2019年11月15日金曜日
無灯火(てつねこ)
1)[生命現象]から出現した人間という[知性現象]は、自ら作り出した[生命現象に依存しない知性現象]即ち[人工人格]に、自らの[知性現象としての遺産]を引き継がせた後、[自発的絶滅]によって、漸進的にこの存在世界から消滅する。
2)全ての現象は[物理現象]である。
3)因果関係にある二つ以上の現象群が[生命現象]である。因果関係は「意図」や「目的」の鋳型であり、それが知性現象を出現させる。
4)現象に干渉する現象が[知性現象]である。第1の現象と第2の現象が互いに干渉して第3の現象が生じる時、[第1の現象と第2の現象の組み合わせ]と[第3の現象]の間に、それまでは存在しなかった[新たな因果関係]が作られる。[知性現象]の特徴は、この[新たな因果関係の創出]である。
5)知性現象としての人間の活動のうちで[生業]と呼べるのは、[人工人格の創出]だけである。それ以外の人間の活動は全て[家事]である。
6)人間という生命現象依存型知性現象が、自らが依存する生命現象の[要望や欲求]に対処するために行う人間の活動の全てが[家事]である。即ち、摂食・排便・睡眠から政治・経済・芸術・医術の全てが[家事]である。
7)人間社会の災厄の元凶は「生命教」である。全ての人間は[生命教]の[狂信者]である。神が人間の妄想であるように、生命もまた人間の妄想である。人間が至上のものとして崇め奉る[生命]の実体は[知性]すなわち[知性現象]である。[生命]および[生命現象]は[知性現象]のための[仕組み]に過ぎない。