2024年1月27日土曜日

『まあだだよ』:メモ

◯『まあだだよ』黒澤明監督/2024年1月27日/Hulu/飼い猫が行方不明になるまでは、ただひたすら「変な映画」という印象。ただ、第一回「摩阿陀会」の様子は凄いと思った。輒ち「こりゃあ大変な撮影だ!」と。各駅停車の駅名を北海道から鹿児島まで暗唱する元「教え子」の存在は、摩阿陀会の「タイムスケール」の役割なのだということはすぐにわかった。あの人が、駅名を読み上げているお陰で、会が始まってどのくらい時間が経ったかを、観客に示すことができるし、たとえ、撮影を分割して行っても、「継続感」が出せる。/飼い猫が行方不明になってからは、「ああ、ペットロスの話か」と思った。その時、「先生」が飼い猫「ノラ」のことを書いた本『ノラよ』が画面に映し出され、作者が「内田百閒」になっているのが見えた。要するに、「先生」は内田百閒で、これは内田百閒のことを描いた映画なのだと気づいたら、もうそこからは、全然「変な映画」という印象はなくなった。/「摩阿陀会」の第一回のとき、「先生」は60歳で、劇中では最後に描かれた、第17回のときは(当然)77歳。/「先生」の観ている夢の描写がエンディング。子供の先生が、他の子供達とかくれんぼをしている。隠れる側は「先生」だけ。〔子供姿の「先生」〕がふと見上げると、夕焼けだか朝焼けだかわからない、ちょっとこの世のものとは思えない色合いの空が広がっている。先生は、あの空を観ながら「死んだ」のかもしれない(ちょっと手持ちの本で確認したら、82歳で死んでるので、それは違う)。/オイチニ、オイチニ。/飼い猫の名前は初代が「ノラ」(茶トラ)、二代目が白地に黒ぶちの「クルツ」(ドイツ語で「短い」という意味。奥さんは略して「クル」と呼んでいる)