2022年3月3日木曜日

150年の怠慢

所謂「北国」とか「雪国」などと呼ばれる地域は、相応の設備や装備なしでは人間が生きられないという点で、月面や火星植民地に近い。「例年にない」大雪のせいで、札幌が「想定外」のトラブルに巻き込まれてしまうのは、今言った認識が札幌にない(ずっとなかった)からだ。


月面や火星植民地で生活していこうとするとき、最初にやることは、生身の人間でも生きられる、温暖で安定した「閉鎖空間型都市」の建設である。一般的なSFのイメージで言えば、透明な巨大ドーム空間だ。それと同じことを、札幌は降雪や積雪に対して行うべきだった。毎年毎年、億という単位のカネをつぎ込んで、その場しのぎの排雪作業をするくらいなら、月面都市的な哲学の「大雪対応型都市」を作り上げていくべきだったのだ。


明治から今日まで150年もあった。にもかかわらず、「雪が降ったら、黙って雪かきすればいい(他にどうする?)」という雪国人の「美学」を言い訳に、札幌は本当にやるべき仕事を先送りにしてきた。150年も!


(2022年3月3日木曜日【む】)