2022年3月11日金曜日

深宇宙探索

宇宙探索というと、いまだに、人間が(場合によったら、人工冬眠技術などの助けを借りて)、直接、現地に出向くものだと思っている連中が多い。そう、映画『エイリアン』とか『2001年宇宙の旅』みたいに。


だが、そうではない。ロボットの「卵」とでも言うべき、小さな「ロボット工場(=高性能な3Dプリンター的なモノ)」を無人で送り出し、現地(探査目的地)で製造したロボット(原料はもちろん現地調達)が、当該地を調べて回るのである。


目的地が月くらいなら(もちろん出発地点は地球)、人間が直接出向くのもいいだろう。せいぜいが一週間程度の「旅行」だから。しかし、火星となると、もう怪しい。明治時代に日本からカリフォルニアに行くような「覚悟」と「体力」と「時間的余裕」が要るからだ。実際、地球から火星までは、今の試算だと、半年以上はかかるのだから、米国に向けて出発したときの岩倉使節団よりもだいぶかかる。出発前からそうとう気が滅入るだろう。


地球で作り上げたロボットを送り込むほうがいいような気がするかもしれないが、それも違う。地球上で、予め、ロボットを目的地の環境に最適化するのは難しい。「現地」の環境や状況に合わせたロボットを、実際に「現地」に着いてから設計し作ったほうが、最適化の精度は高まる。送り出す「卵」は探索目的のロボットではなく、到着した環境に適合したロボットを作り出すための装置だという点が勘所。


(む)