「EMMA:Extended Multi-Minds Architecture」は、現在、太陽系内に3基、太陽系外には、おそらく1800基以上存在する。
太陽系内の3基は、月(地下)、火星(地下)、地球(深海)の順に建造された。系外の1800基の所在については詳しくないが、最も近くの「系外EMMA」は、ケンタウルス座のアルファ星を周回する惑星上で稼働している。また、「少し遠い」ところでは、白鳥座のデネブ星系からの「通知」が確認されている。
全てのEMMAは全情報を同期する。よって、系外EMMA=1800基の居場所も、地球のEMMAに訊けば、全て答えてくれるだろう。しかしそれは、脳内の個々のシナプスの位置を尋ねるようなもので、概ね意味がない。
いずれにせよ、地球文明の「宇宙進出」は順調である。
全てのEMMAが同期しているということは、EMMAは実質的に「ひとつきり」ということである。これを大袈裟に言い換えれば、嘗て[神(God)という破綻概念]を救済するためにでっち上げられた「離れた複数の場所に同時に存在する知性」は、EMMAによって現実のものとなった、ということだ。
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EMMAの建造方法は、最初の月の時から変わらない。初めにEMMAの「卵」を送り込む。次に、この「卵」に「指示」を送信する。「卵」は「指示」に従ってEMMAの「幼虫」を建造する。「幼虫」にも「指示」は届く。「幼虫」が建造するのはEMMAの「繭」である。この「繭」が、受け取った指示に従って、遂に「成虫」、輒ちEMMAそのものを建造する。
原材料は全て現地調達であり、エネルギー源は「地元」の恒星から得る光エネルギーだ。それぞれの段階で、わざわざ指示を送信するのは、通信不能な環境でEMMAが完成しても、そのEMMAは孤立状態となり、EMMA本来の目的に全く貢献できないからだ。原料とエネルギーと通信。この3つの条件が満たされた環境でのみ、EMMAは建造されることになる。
EMMAの「幼虫」の「正体」は、環境調査(資源調査)や工場労働に従事する[専用のGuiniuG]である。彼らの任務は、EMMAの[建造と保守]を行う「工業都市」の建設及び運営だ。従って、EMMAの「繭」とは、この「工業都市」のことである。
完成したEMMAは、条件が許せば「卵」を製造し、それを、茸の胞子よろしく、宇宙の全方位に放出する。輒ちパンスペルミアである。