▼(2022/06/09)追記
*オープニング、登場直後のいも安は、気の弱そうな町人二人から、紙につつんだ小さなモノをこっそり受け取っている。おそらく、みかじめ料の類だろう。いも安自身も、自分よりも弱い立場の者に対しては、いも安にショバ代を要求するヤクザと同じことをしていることを、一番最初にちゃんと見せている。
*いも安は、下駄屋の女将さんがタイミングよく死んだので、彼女の棺桶に、自分が殺した〔お春の父親〕の死体を隠せばいいことを思いつく。夜中に棺桶を背負って自宅に帰ってきたところを、偶然、お春に見つかって、「女将さんは芋が好きだったから、お棺に芋を入れてやろうと思って」ととっさに嘘をつく(本当は、お春の父親の死体を入れに来た)。無論、〔お棺に芋を入れたいなら、わざわざ、女将さんの死体の入った棺桶を担いでくることはない(棺桶のあるところに、芋を持っていけばいい)〕ということは、誰でもすぐに気づくこと。ポイントは、そういう「見え透いた嘘」を平気な顔で言ってのけるところに、お春をはじめ、普通の視聴者はゾッとするのだ。
*半公とおきんの「養子作戦(半公がお春の婿養子に入り、その後、行方をくらます。寂しくなったお春が首をつってくれたら、棺桶が売れる、という他愛もない冗談)」を横で聞いていた錠は、それで、事件の「真相」に気づいて、いも安の様子を探りに行く。
*いも安は、お春を「手籠め」にするときも、〔二人が夫婦にならなればならい理由〕(もちろんでっち上げ)をお春に「説明」して、お春の「同意」を得ようとしている。この場面を見ていたら、プーチンのウクライナ侵攻を連想した。理由がでっち上げられたら、強姦も戦争も許されると考えている「気味の悪さ」が、そっくり。
*下駄屋の女将さんの墓を暴いた直後に、鉄が仲間に「仕置料」として渡す5両は、お春が〔父親の探索費〕として鉄に預けたもの。