氷の近くに火があれば、氷が溶けて水になる。これが物理現象。水を得るために、氷に火を近づけようとすること。これが知性現象。そして、知性現象が透けて見える物理現象を、人間は「生命現象」と名付け、別の現象として扱う。
物理現象は火で氷を溶かすことはできるが、たまたま第三の物理現象が介在しない限り(南極近くで海底火山が爆発して流出した溶岩が氷山を溶かす、みたいなこと)、火を氷に近づけることができない。偶然に頼らずにそれができるのが知性現象。知性現象も、材料や原動力、つまり土台は物理現象だが、物理現象自体を制御できる点で超物理現象と言える。
知性現象の真骨頂を一言で言えば、物理シミュレーションができること。これを言い換えると、因果をひっくり返すことができるということ。って、これはついこの前にも言った。物理現象Aと物理現象Bを「足し合わせる」と物理現象Cという結果が得られる、ということを「知っている」ということ。
もちろん、この場合の「知っている」は比喩。この言葉が比喩ではないのは、この地球上ではおそらく人間だけ。今のところは。例えば、動物が物を食べるのは、体を維持するためだったり、活動ためのエネルギーを得るためだったりするが、当の動物はそんなことを意識的に(=人間のように)「知っている」わけではない。食欲に従っているだけだ。しかし、起きていることは、生命の維持(物理現象C)と言う結果を得るために、獲物(物理現象A)を襲って食べる(物理現象B)ということ。この生命現象と呼ばれる物理現象に透けて見えているのが知性現象。どうなるかわかっていて、意図的にやってるという感じがする。
新型コロナウィルスも物理現象で、新型コロナウィルスに感染するのも、その後回復するのも、逆にダメお陀仏になるのも、皆、物理現象。物理現象なんだから水道管の穴を塞ぐのとか、吹っ飛んだ原発の片付けをするのとかと同じ。違うのは、その現象に透けて見える知性現象のアリヨウや度合いで、これにオタオタしたり、妙な幻想や妄想を抱かされて、苦しむことになる。
感染症というのは、いわゆる放射能なんかよりも生命現象っぽいから(まあそりゃそうだ)、生理的な気持ち悪さが1.5倍増しになるのだろう。意思を持って拡がってるとか、襲ってくる感覚が「ただのモノ」でしかない放射性物質よりも強くて、それで、みんなキャーっとなってしまうんだろう。でもそれは…