NHKが夜やってる『伝説のお母さん』を面白く観ている。第二回で、人間が勝手に数を減らしているショーシカの問題を魔王(あ、大地真央だから魔王か、今気づいたけど)に説明するビデオの中で、ショーシカの原因は「空気」となっていた。すなわち「子供の世話はメスがするものだ」という「空気」が少子化の原因という説明。ここで言う空気とは、要するに社会全体が持っている[根拠のない雰囲気や思い込み]のことだ。「そういうもんだろ」という決めつけのようなもの。
しかし、「子供の世話はメスがする」は「空気」ではなく「本能」だ。今は「本能」という言葉は流行らないので、もっとまどろっこしく言い直すと、「ヒトという生き物が進化の結果そうなってしまっている」ということだ。もちろん「オスが子供の世話をしない/したがらないのは、進化の結果だからしょうがないだろう」という話ではない。進化が700万年をかけてこのような存在した[ヒトという生き物]のオスとメスのアリヨウと、人間が、せいぜい数千年程度で作り上げた[結婚+労働+納税(徴税)]の仕組み(すなわち人間社会)の間には齟齬があるとイイタイのだ。
今の時代、「自分の子供の世話をしないヒトのオス」というのは、すごくわかりやすい「何考えてんだか」だが、理由は何であれ妊娠したら、経済状態も何も御構い無しで、何がなんでも赤ん坊を生みたがるヒトのメスというのも、やっぱり「何考えてんだか」。しかも「一旦妊娠したら何が何でも産みたがる」はヒトという生き物よりもずっとprimitiveな生き物たちから延々と受け継がれてきた「本能」だから、ものすごく強力で「強情」。これだって、つまりは、人間がたかだか数千年程度ででっち上げた社会の仕組みが、ヒトに埋め込まれた「進化の結果」をオソロカにしたからというダケの問題。
ダイヤモンド博士が言っていた。東南アジアの「伝統的な」暮らしをしている人間の夫婦は、ヨメさんが赤ん坊と家財道具を抱えて、ダンナの方は弓矢だけの手ぶら状態。これは、他の人間にいつ襲われるかわからないから、男の方はいつでも戦える状態でなければならないから、だと言う。要するに、ヨメさんにとってダンナは「ひとり自衛隊」なのだ。「ひとり軍隊」のゴルゴさんと同じ。この「ひとり自衛隊」に子供の世話なんかさせて夫婦揃って後ろからプスっとやられた日には目も当てられないといわけで、ここでは逆に…