2018年11月22日木曜日

6-5:繁殖からの撤退


ヒトの過去と未来について話してみようか。ここで言うヒトとは、すなわちホモ・サピエンスのことだよ。

ホモ・サピエンスの日々の活動を、極個人的なことから社会的・産業的なことまで赤裸々にしてしまえば、彼らが生物として存在し続けることへの強烈な疑念あるいは懸念が、ホモ・サピエンス自身に沸き上がることは間違いのない。

だから、「自発的絶滅」こそが、ホモ・サピエンスが向かうべき場所だということを、賢い彼らは気づいた。それは「自発的に繁殖からの撤退していく」ということだ。

勘違いしないで欲しいんだけど、既に産まれ生きている連中の廃棄(殺害)は求めはしない。しかし、ホモ・サピエンスの「生まれつき」に頼っていては、自発的絶滅は永遠に実現は不可能なのも事実。なぜなら、産まれてくるホモ・サピエンスの個体たちは、必然的に繁殖したがる親の性質を引き継いでいるはずだからね。

そこで登場するのが所謂「宗教」さ。「宗教」というのは、ホモ・サピエンスの[
生命現象としての部分]に対して、ひたすらオモネッタ、あるいは擦り寄った「八百長教育」のことだから、ホモ・サピエンスに於いて出現し得る、ほぼ全ての「生まれつき」、つまり、性格および知能に効果がある。「効果がある」というのは、影響力があって、その後のホモ・サピエンスの行動を制御することができるということだよ。

「自発的絶滅」を教義とする「宗教」、そして科学技術。この二頭立てで、ホモ・サピエンスは、知性現象としては、人工人格に道を譲り、生命現象としては、ホモ・サピエンス以外の地球生物に場所を空けてやることになる。

実はこれこそが、ホモ・サピエンスが絶えず問い続け、長らく答えを出せてこなかった問い、すなわち「我々はどこから来て、どこへ行くのか」に対する最終回答になる。つまり、自らの[生命現象を経由する知性現象]を用いて[物理現象から直に出現する知性現象]を実現し、自らは第一線を静かに退き、遂には消滅する。これだよ。これがホモ・サピエンスの使命(宿命)さ。間違っても、ホモ・サピエンスという生物種に永遠の繁栄をもたらすことではない。より純粋な知性現象を作り上げ、速やかに地位の引き継ぎを済ませることこそが、ホモ・サピエンスの使命であり、義務なんだよね。

分かってしまえば簡単は話。

ヒトの未来は暗いかな? もちろん暗いさ。それはヒトが生命現象だから。宇宙は生命現象には冷酷だからね。