「我々はどこから来て、どこへ行くのか」という問いに対する答えは既に出ている。我々は、生命現象に依存しない知性現象を作り上げたのち、我々の「遺産」の全てを、その「真の知性現象」に譲渡し、我々自身は穏やかな「自発的絶滅」を遂げる。これが、我々人類の「役割」であり、我々人類の物語の最も理想的な結末である。今以上の科学力だけがこの理想的結末を実現できる。故に、科学のみが「我々人類が取り組むに値する活動」即ち「生業」であり、それ以外の人間の活動は全て、単なる「家事」に過ぎない。
2018年11月26日月曜日
6-6:糞と魂
知性現象としてのヒトが悩まされてきた問題の全ては、生命現象由来のものだ。ヒトが生命現象依存型の知性現象であることが、その根本原因というわけだね。たとえばその一つに環境問題がある。具体的で、言い逃れのできない、厳然たる事実として、これ以上ないのが糞の問題だ。ヒトはもれなく糞をする。動物だから当然だ。問題はヒトの数の膨大さだった。
単純な計算。ヒトは毎日概ね一回は糞をする。その量を、今ここで、仮に100グラムとする。ヒト一人が1日に排出する糞の量(重さ)を100グラムとするわけだ。ある時期実際この地上には、およそ70億のヒトがいた。ここから、地球上に1日で出現するヒトの糞の量が、簡単に割り出せる。100グラムは10のマイナス1乗キログラムであり、一キログラムは10のマイナス3乗トン。すると、100グラムというのは、10のマイナス4乗トンということになる。さて、ヒトの数、70億は、7×10のプラス9乗(1の後ろに0が9個)だから、100グラムすなわち10のマイナス4乗に、7×10のプラス9乗を掛けると(対数の9から4を引けばいいわけだから)答えは7×10のプラス5乗で、これは7×10万のことだから、要するに70万トンがその答えになる。
何の答えかって?
70億人のヒトが1日に、この地上に出現させる糞の重さだよ。1日あたり70万トンの糞。10日で700万トン。100日で7000万トン。一年365日をざっと300日と考えると、一年で2億トン以上の糞を、ヒトは排出し続けてきたわけだ。これを環境汚染と言わずして、何を環境汚染と言おう?
環境問題に限らない。病気の問題、死の問題、教育の問題、食料の問題、子供の問題、老人の問題、結婚の問題、各種依存症の問題、殺人、戦争、カンニング…。どれもこれも、実は生命現象が原因。
コトホドサヨウに、ヒトの問題難題課題のほとんど全ては、知性現象として振る舞おうとするヒト自身が生命現象であるということに由来したもので、つまりはそれは、知性現象と生命現象の間の齟齬/軋轢なのさ。或る意味、自己免疫疾患だね。
生命現象には死が織り込まれていて、永遠を希求する知性現象とは絶望的に反りが合わない。ヒトが本気で、真の平和だの、明るい未来だのを望むなら、どちらか一方を選ぶしかない。で、どちらを? その答えをヒトはとっくの昔に出している。
死後の存在は、知性であって生命ではない。