2020年4月19日日曜日

もしもゾンビ映画で、ダーティ・ハリーが、ヒロインもしくは少年と逃走中に自らの「ゾンビ感染」に気づいたら、完全にゾンビ化する前に、愛用のマグナムで自分の脳みそを吹き飛ばすだろう。新型コロナに感染したら自宅に引きこもる、というのは、まあ、極端に言えばそういうこと。


科学の歴史を紐解けば、専門家と呼ばれる人間のほとんどは、大した洞察力も抜きん出た地力もないその他大勢の凡人。

科学の分野でのこうした「凡庸な専門家たち」は、どちらかというと、映画の世界でいうところの監督ではなく観客や、ガジェットの世界でいうところの開発者・発明者ではなく利用者である。

また、どんな分野にも「評論家」と呼ばれる人種が存在するが、これは、自信満々の観客や利用者に過ぎない。


北海道に、ヒグマを叱りつける爺さんがいる場所がある。そこが世界遺産になるとかならんとかで、今、世界遺産を統括する組織かなにかに審査のようなものをされているというのを、NHKスペシャルで観た。

世界遺産なんぞ、観光客を呼び込むためだけのものだと思っていたので、意外だった。というのは、そのヒグマを叱りつける爺さんのいる場所(名前忘れた)は、どう見ても、観光客に来てもらいたいと思っているような場所ではないからだ。というか、観光客なんかがゾロゾロ来るようになったら、いずれヒグマが原因の事故が起きるのは目に見えてる。

しかも、タダで世界遺産に登録されるわけではない。件の組織は、世界遺産登録の条件として、砂防ダムや道路や橋の撤去を要求している。砂防ダムは、大雨で流れ出した流木が定置網を傷つけたのがきっかけで設置されたもの。道路や橋は、無論、そこに暮らす人々の通行手段。

砂防ダムに関しては、サケなどの遡上の妨げになっているので、撤去することで、今よりも多くの魚が海に戻ってくる、と世界遺産の組織の雇われ博士は説明する。それなら砂防ダムは撤去しようとヒグマ叱り親父も考える。しかし、橋や道路に関しては譲れない。

そこで、世界遺産登録なんかしなくていい、という話にならないところに、観ていて疑問符がついた。先にも書いたとおり、ヒグマ叱り親父の暮らす場所に観光客は必要なさそうなのに、世界遺産登録のメリットは観光客の気をひくことぐらいしかなさそうだからだ。

それとも、世界遺産に登録されることの恩恵が他にもあるのか? たとえば、補助金だの保全金だののカネが転がり込むのか?