【レスリー・デンディ、メル・ボーリング著『自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝』 巻末年表の写し (その2)】
1860年代 ルイ・パスツールが、食べ物の腐敗や発酵は微生物が原因で起きることを示す。また、有害な細菌を死滅させるため、低温殺菌法(牛乳やワインなどの液体を熱する)を考案した。(フランス)
1865年 ジョセフ・リスターが無菌手術法を考案する。たとえば、手術用具を加熱殺菌する、傷口をフェノール(石炭産)で消毒する、などである。(イギリス)
1876年 ロベルト・コッホが、炭素病の原因が細菌であることを明らかにする。のちには結核が伝染することも証明した。(ドイツ)
1885年 ルイ・パスツールが、史上2番目の人間用ワクチンとなる狂犬病ワクチンを開発する。まず自分で試すつもりでいたが、ジョゼフという少年が獰猛な犬に噛まれたために、この少年で実験する。実験は成功した。(フランス)
1885年 ダニエル・カリオンが、致死性のペルーいぼ病について調べるため、患者のいぼから血液を採って自分の皮膚に摂取する。(ペルー)
1895年 ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンがX線を発見し、それを使えば体内の骨や臓器を写すことができるのを示す。(ドイツ)
1895年 ジョン・ホールデーンが自ら一酸化炭素を吸い、このガスが炭鉱労働者に及ぼす有害な作用を調べる。(イギリス)
1900年 ジェシー・ラジアが黄熱病の感染経路を解明しようと、病原菌に感染した蚊に進んで刺される。(キューバ)
1900年 マリーとピエールのキュリー夫妻が、長年にわたる放射能の研究で手にやけどを負ったことに注目し、ピエールが腕にラジウム塩をテープで貼り付ける。これはのちに、ラジウムが病気の皮膚細胞を破壊するという発見につながった。(フランス)
1901年 黄熱病委員会の実験が終結し、蚊を駆除するための大規模な活動が各地で展開される。(キューバ)
1903年 キュリー夫妻がアンリ・ベクレルと共にノーベル物理学賞を受賞する。ベクレルは自然放射能の発見が、キュリー夫妻は放射性元素の研究が、それぞれ評価された。(フランス)
1905年 ルーマニア人法医学者のニコラエ・ミノーヴィチが、指やロープで自分の首を絞め、その後少なくとも8回にわたって短時間ながら首を吊る。絞殺による窒息死が人体にどんな影響を及ぼすかを調べるためである。(フランス)