【デンディ/ボーリング著『自分の体で実験したい』 巻末年表(その3)】
1906年 13歳のジャック・ホールデーンが、父親の実験に協力し、体に合わない大人用の潜水服を着て海に潜る。潜水夫の安全を守る上で、後にこの研究が役にたった。(スコットランド)
1911年 マリー・キュリーが2度目のノーベル賞(化学賞)を受賞する。ひとりで2度のノーベル賞を受賞したのは史上初めてであり、女性としては今井に至るまでマリーただ一人である。(フランス)
1912年 C.H.T.タウンゼンドが、夜間にサシチョウバエに刺されるとカリオン病に感染することを突き止める。(ペルー)
1921年 ヘレス・スパロー博士が、発疹チフスの病原菌についてもっと知識を得ようと、発疹チフスに感染したモルモットの脳組織を取り出し、その一部を自分の皮下に注射する。発疹チフスは、発熱、頭痛、発疹を主な症状とする病気で、通常はシラミを介して人間に移る。スパローは、病原菌が弱過ぎて自分に影響は出ないと考えたが、実際には病気に感染した。(ポーランド)
1928年 アレグサンダー・フレミングが、史上初の抗生物質(細菌を殺す薬剤)となるペニシリンを発見する。(イギリス)
1929年 ヴェルナー・フォルスマンが、自分の腕の静脈からゴム製のカテーテルを挿入して心臓まで届かせる。当時はまだ心臓という臓器は謎に包まれていたため、フォルスマンはこの臓器を調べてなおかつ治療できる方法を探していた。(ドイツ)
1930年 ヴィエルナー・フォルスマンが心臓カテーテルの実験について講演を行い、徴収に嘲笑される。(ドイツ)
1930年 トマス・ルイス卿とヨーなす・チェルグレン博士が、痛みを感じる複雑な神経経路を調べるため、自分たちの骨、筋肉、関節に食塩水を注射して痛みを誘発したり、背骨に針を刺したりする。(イギリス)
1930年代~1940年代 栄養学の専門家であるエルシー・ウィドウソンとロバート・マッカンスが、自分たちの体に無機物を注射したり、普通は食べないものを食べたりして、数え切れないほどの実験を行う。例えば、糖尿病について学ぶため(糖尿病患者の尿には不思議と塩分が含まれないことに気づいて)無塩の食物ばかり食べる、あるいは大量の鉄を摂取して体がそれを排泄できるかどうかを調べる、などである。二人はパートナーとして合計60年間も一緒に研究を行った。(イギリス)