2020年5月31日 日曜日/晴/暑い
例によってカツカレーを買いに札弁に寄った。店内には先客は1組しかいなかったから、すぐに買って帰れると思ったら、あとから「予約」の客が3組ほど来て、そいつらに「追い抜かれる」形になってしまい、当初の想定以上に待つ羽目になった。予約システムというものは、当の予約客にとっては、待たずに便利だが、ふらりと立ち寄った客にとっては、やや迷惑だ。ふらりと立ち寄る客にとってそれは、「見えない客で混み合ってる(かもしれない)店」ということだから。
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『ワイドなショー』で、本屋のどんでん返しコーナーのことを取り上げていた。つまり、どんでん返しのある本を集めた棚って、ある意味ネタバレだけど、これってどうなのというハナシ。番組出演者の中にも「ネタバレOK」と「全然ダメ」の両方がいた。
文学でも映画でもゲームでもスポーツでも、楽しみ方は「1周目」と「2周目以降」の二つがあり、これは全くベツモノ。「ネタバレOK」派は、ここでいう「1周目」をskipする人たち。
当たり前のことを敢えて言えば、或る「表現」すなわち「作品」が気に入れば入るほど(何度も繰り返して体験するから)、「作品体験」としての「1周目」の比重は小さくなり「2周目以降」の比重が大きくなる。すると、「2周目以降」の体験の方が、「作品体験」として「ホンモノ」とか「ちゃとしてる」とか「思い入れが強い」とか「本格的」だとか思ってしまって、「1周目」のことは、どこかに忘れ去られてしまい、そのうち、余計な「前菜」みたいな扱いになる。
実際、評論家はともかく研究者と呼ばれる連中が、或る作品について語るとき、それは常に「2周目以降」の「作品体験」を土台にしている。逆に言えば、なんであれ、「一回」読んだ/観た/遊んだ意見や感想は、「ちょっと手を出してみた素人」にも言えるわけだから、軽く見られがち。
しかし、繰り返すが、「1周目」つまり「ネタバレなし」での作品体験は、「2周目以降」のソレとは根本から違うのだから、そもそも並べて考えてはいけない。
スポーツを念頭に置けば一番ピンとくるだろうが、純粋な意味での作品体験ができるのは、実は「1周目」だけ。ラグビー日本の勝利にスタジアムで抱き合って喜んだおっさん二人が、2週間後に録画で同じ試合を見て抱き合うことはないだろう。「2周目以降」でやっていることの正体は「確認と分析」だからだ。