2020年12月19日土曜日

『All You Need is Kill』(吹替版)を観た

 

2020年12月19日 土曜日/雪

『All You Need is Kill』(吹替版)を、prime videoで観た。アクションビデオゲームの主人公が無敵の理由は、何十回も何百回も死んで(ゲームオーバーになって)、どこで何が起きるかのパターンを予め知っているからだ。その「無敵」条件を、「実際」の戦争という舞台でやってみたという映画。だから、この映画の主人公(トム・クルーズ)は、いろいろな場面で死にまくる。死にまくって、「ゲームスタート時」に戻って、失敗したところをうまくクリアする方法を見つけて、少しずつ「前進」していく。


途中色々あるが、最終的に敵の本体である「オメガ」の潜む場所を見つけて、そいつを破壊してゲームクリア。


主人公は、仲間全員を犠牲にし、自分自身の命も犠牲にして最終的に「オメガ」の破壊に成功するのだが、その際に「オメガ」もしくは「アルファ」の血液を浴びて(体内に取り込んで)またしても時間を戻ってしまう。で、最後の最後は、将軍と会見をする前(ロンドンに降りる前のヘリコプターの中)に戻ってくる。ここで、もし、「戻ってきた」世界が「元のまま」なら、まあまだ良かった。つまり、この「ゲーム」を真にクリアするためには、そもそも、主人公は、将軍の命令を拒絶して脱走兵の二等兵として戦争に参加していてはダメで、少佐として、英雄「ヴェルダンの女神/戦場の牝犬」リタ(もうひとりのタイムルーパー)を伴って将軍を説得し、全軍を率いて「オメガ」が潜んでいるルーブル美術館に攻撃を仕掛ければいい、ということにあるからだ。そうすれば、主人公の仲間たちは誰も死なず、ギタイも殲滅できる、という「完全攻略」になる。


これでも、いかにもハリウッド映画な「ハッピーエンド」で、ゲンナリするのだが、実際の映画はこれにすらなってない。


「オメガ」を破壊した主人公が「戻ってきた」世界で、将軍は「今朝早く、パリの中心分で謎の大爆発があり、ギタイの戦闘力は完全に失われた」「我々は西部戦線に進行を開始する」と演説しているからだ。つまり、ここは、主人公がロンドンに着いた時点ですでにオメガが破壊されている世界なのだ。主人公は「自らが引き起こした」パラレルワールドに移動したわけでもない。


破綻している。


途中は面白かった。最後でぶち壊し。でもまあ、この「ぶち壊し」のおかげで『アルマゲドン』的な浪花節映画にはならずに済んだ。