2021年3月2日火曜日

浦里(うらざと)

2021年3月2日 火曜日/大雪のち晴れ



『Twin Peaks 2』第9章メモ


ハリーのオフィスの鹿の頭の剥製の下に「THE BUCK STOPPED HERE」の札が下がっている。それをハンクが見て笑う。これは、大統領のハリー・S・トルーマンが言った有名なセリフ。他人に責任を押し付けず(回さず)、「責任はすべて私が引き受ける」という意味。



何周もしている『池波正太郎の食卓』という本の、和食編・弥生のページに、こんなくだりがある。


“若い頃は株屋に勤めて法外な荒稼ぎをしながら吉原通いに明け暮れていた池波正太郎である。朝、帰るときに、お女郎が「浦里(うらざと)」という一品を自分の手で作ってくれる。大根おろしに梅干しをちぎって入れ、揉み海苔をかけて、そこへちょっと醤油を落とすだけの、まあ他愛のないものだが、

「これは泊まった客の、ことに自分がいいと思った客にだけ、お女郎が自分で作るんだからね。オツなものだよ、なかなか……」

と、亡師〔池波正太郎のこと〕は目を細め……”


この「浦里」は、お女郎が自分の手のひらを器にして、その中に作ってくれるものだと、今日までずっと思い込んでいた。「自分の手で作ってくれる」をそのように受け取っていたのだ。しかし、今日、なぜか、気づいた。これは、単に「手作りしてくれる/自分で作ってくれる」という意味なのだ。で、ちょっと、というか、かなり、白けた。女のくぼめた手のひらから、直に大根おろしを食べるのが「浦里」の「楽しみ」であって欲しかった。



キウィ・ベリーというものを初めて食べた。別名「ベビーキウイ」すなわち「赤ん坊キウィ」。食べると確かにキウィ。半分に切った時の様子もまるっきりキウィ。しかし、毛は生えてない。全く別の植物らしい。サルナシの仲間だという。サルナシ? 猿梨? なんにせよ、旨い。



ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』読了。