2021年1月2日土曜日

安部公房「死に急ぐ鯨たち」より

 2021年1月2日 土曜日/晴れ


【メモ】

人間が作り出す空間―巨大なる空間とはいったい何であるか。その空間に時間というものを付け加えて考えると、人間の歴史とは結局のところさまざまな不安定要素に対して日常を拡大しつづける努力であったといってよいのだ。

しかるに、核兵器というとてつもないものを作り出してしまった世界にとって日常はかなり異なった容貌をもってわれわれの前に立ち現れているのである。

もし想像力の助けを借りないならばこの現実は「盲人に連れられて歩く盲人の群れ」を描いたブリューゲルの絵のように楽天的に見える。

しかし、誰かおびえた一人がかけ出すとしたらどうなるか。

たちまち全員が反応をおこしてパニックをもたらすだろう。

鯨の集団自殺は、なぞめいている。高い知能をもっているはずの鯨の群れが、とつぜん狂ったように岸をめがけて泳ぎだし浅瀬にのり上げ挫傷してしまうのだ。

もともと肺で呼吸する地上の動物だったから何かのきっかけで先祖がえりの想像力で水による窒息死に恐怖心を感じ岸に殺到するのかもしれない。

人間だって、鯨のような死に方をしないという保証は、どこにもない。

〜安部公房「死に急ぐ鯨たち」より〜

(ETV8『安部公房「文明のキーワード」聞き手:養老孟司』1987年)



今年の「おもしろ荘」で一番印象に残ったのは「薄毛の人」。「本編」のほうでは「で〜す!」のギャル。あと、野田ちゃん。



毎年恒例の「久保みねヒャダ」を観た。12月にネット配信で観た生配信の部分は10分の1くらいになっていた。



ドリフと志村を振り返る年末の特番で放送された、志村のひとみばあさんと千鳥大悟のマッサージ師コントを見て改めて思った。大悟は、志村が最後に見つけた最高のコント相手。というのも、大悟は、志村が演じる強烈なキャラクターに比べれば「少しだけ普通の側」にいるキャラクターだからだ(大悟自身も、平均から見ると相当に変なキャラクターには違いない)。ちょうど、加トちゃんが、「志村」と並んだ時だけ「普通の側の人」になる「変なキャラクター」だったのと同じ。だから、バディモノで、世の中全体から見たらその二人組は二人とも変人なのだが、二人の間では、「変人」と「常識人」という役割が出て来て「ちょうどよくなる」感じ。コントの中で、志村の変人キャラの「一番の理解者」という雰囲気が出る相棒は、初代は加トちゃんであり、最後は大悟だったということ。