2021年1月12日火曜日

『アンナチュラル』と『MIU404』。概ね満足だが、両作品に共通する「気に入らない点」がひとつだけある。

2021年1月12日 火曜日/晴れ

『Ms igLoo』の第2部の第1話だけが好い理由の一つが分かった。敵である連邦側にセリフが一切ないからだ。他のエピソードは、GMやボールが、さも敵役風に、戦場チンピラ的な嫌なセリフを吐く。それが、安っぽさを助長する。



昨日も書いたが、『アンナチュラル』と『MIU404』を並行して、毎日1話ずつ面白く見ている。概ね満足だが、両作品に共通する「気に入らない点」がひとつだけある。それは「男の登場人物のキレ方」だ。はっきりと違和感がある。特定の登場人物のキレ方ではなく、男の登場人物全般のキレ方が、なにかヘン。わざとらしいというか、とってつけたようなというか。音楽に喩えると、すごーくいい演奏の途中で一瞬和声がおかしいとかリズムが狂うとか、そういう「ん?」な感じ。


具体的に思い出せるところだと、『アンナチュラル』では、末次という雑誌編集長(?)が六郎を怒鳴りつける場面がそう。『MIU』だと、第1話で志摩が、緊急配備をしようと言う伊吹を怒鳴りつける場面と、第4話で、今度は、犯人に拳銃を突きつけられた志摩がとった態度に対して、伊吹が志摩を怒鳴りつける場面。


どの場面も実際は単に「相手を突然大声で怒鳴りつけている」だけだが、場面的にはそれぞれのキャラが、所謂「キレて」、そうしているように思える。だから違和感がある。


なぜなら「キレる」と「怒鳴る」は種類の違うものだから。もっと厳密に言うと、「キレる」というのは、一瞬といえども「相手に本心をさらけ出す」ということ。一方「怒鳴る」は、必ずしも本心をさらけ出す必要はない。キレたら必ず怒鳴るわけではないし、怒鳴っているからと言って必ずしもキレているわけではない。むしろ、男が怒鳴っている場合、その男は大抵キレてない。


もっと言ってしまえば、男の「怒鳴る」は、女の「泣く」に近い。女が本当に悲しいときには「泣かない」ように、男は本当に怒っている(キレてる)ときには「怒鳴らない」。


だから違和感なのだ。男の登場人物がキレた(本心から怒っている)ということを表現したいはずの場面で、その男の登場人物に安易に怒鳴らせてしまうと、その男の登場人物は、実は「キレているふり」をしているだけの、「相手に対して距離をとった人間」か、「キレているつもりになっている」薄っぺらい人間の、どっちかに見えてしまいがちで、むしろ「本気で怒っている=相手に本音でぶつかっている」とは逆の印象を与えてしまう。大事な場面なのに。


念のために付け足しておくと、「怒鳴る」と「熱が入って、声が大きくなる」は全く別物だから。