2021年2月3日 水曜日/晴れ極寒
『賭博黙示録カイジ』がYahoo!プレミアムの読み放題で読めるのは13巻までだった。すなわち、兵藤との「ティッシュ箱」のくじ引き対決に破れた「絶望の城」編までだった。続きは買って読めと?
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Chromebookで英文のダッシュ記号(これ→「–」)が出せなくてイライラする。あと、テキスト読み上げも、一応できるけど、ものすごくへぼい。『利己的遺伝子』の英文を読ませたら、ものすごいカタカナ英語。逆にちょっと面白くて何回も聞いてしまったほど。
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『コロンボ』メモ
(第22話)『第3の終章』Publish or Perish
このエピソードでは、コロンボが、真犯人のライリー・グリーンリーフに「罠」を仕掛ける場面がある。すなわち、コロンボがグリーンリーフに「錠が変更されていたマロリーの部屋に、犯人はどうやって忍び込んだのか」と話す場面。
つまりこういうことだ。
「罠」を仕掛ける時点でコロンボが知っていたことは以下の通り。
現場に落ちていた鍵では入り口の扉の錠は開かない。
現場に落ちていた鍵は、グリーンリーフから「盗まれた」鍵。
現場に捨ててあった拳銃は、グリーンリーフから「盗まれた」拳銃。
実行犯は、鍵を使うことなく、開いたままのドアから侵入した。
マロリーは入り口の錠を別のものに取り替えていた。
コロンボは、以上5点を知った上で、1)と5)の事実をグリーンリーフに伝え、4)には気づいていないフリをした。そして、念押しに、[マロリーが新しくした錠に合う鍵を持っている者こそが殺人犯だ]とグリーンリーフと話して「罠」を仕掛けたのだ。
これが「罠」である理由は、この話をする前に、コロンボはすでに、殺人現場の入り口の錠を、第3のもの変更しておいたからだ。もし、グリーンリーフが真犯人(黒幕)で、彼の共犯者(殺害の実行犯=爆弾魔エディ・ケーン)を「真犯人=単独犯」に仕立てようとするなら、グリーンリーフはコロンボの「罠」にかかって、コロンボが取り付けさせた第3の錠前に合う鍵を共犯者に持たせようとするはずだからだ。
おそろしいのは、この「罠」をしかけた時点で、コロンボは、グリーンリーフが、彼の共犯者(エディ・ケーン)を口封じのために殺すだろうことをほぼ確信していること(言わないけど)。なぜなら、[グリーンリーフにとって、「コロンボの錠(グリーンリーフはマロニーが交換した錠だと思っている)を開ける鍵」を持っている人間(共犯者)は警察に発見されなければならないが、かと言って、共犯者に「グリーンリーフから依頼されただけだ」と供述されては元も子もない]くらいのことは、コロンボは簡単に洞察できる。
ついでに書くと、グリーンリーフの一連の振る舞いは、どこまでが当初からの計画で、どこからが突発的な事案に対する対処だったのだろう?
実行犯に対して、自分の鍵や拳銃を犯行現場に残しておくように指示していた上で、自分は「鉄壁のアリバイ」を作っていたのだから、グリーンリーフが当初から思い描いていたのは、a)[自分(グリーンリーフ)に殺人の罪をなすりつけようと工作された殺人事件で、あやうく殺人犯にされるところだったのを、運良く免れた]というシナリオである。つまり、b)[自分(グリーンリーフ)に疑いがかかるような要素を全て排除した、どこか他所で起きた殺人]というシナリオでない。
そして、こうも言える。共犯者に殺人を代行させ、その間、自分は酔っ払って騒ぎを起こして「完璧なアリバイ」を作り上げることは、単純な「bシナリオ」でも可能だ。わざわざ一旦自分に殺人の容疑が向くように仕向けるのは、警察に対してあとで「真犯人」を「示す」(「捕まえさせる」ではない)つもりが、初めからあったということ。そして、高い確率で殺人犯だと思われる人間が「事故死」し、しかも単独犯だと確信すれば、警察はそれ以上の捜査は行わない。これがグリーンリーフの真の狙い。
というわけで、[「盗作」問題の一件で、マロニーとグリーンリーフに恨みを持った爆弾魔エディ・ケーンが、グリーンリーフがマロニーを殺したかのように見せかける殺人事件を実行した]というのが、グリーンリーフの当初からのシナリオになる。だから、グリーンリーフのシナリオには、[「真犯人」であるエディ・ケーンが、制作中の爆弾が暴発して事故死し、その現場を調べた警察が、「盗作」問題にたどり着く]までが、当初から含まれている。つまり、突発的な事象への対処は一つを除いて皆無。
「一つを除いて」のその一つの事象とは何だろう。グリーンリーフの「シナリオ」になかったのは、マロニーが入り口の錠前を取り替えていたことだが、実はこれだけでは、グリーンリーフの「シナリオ」にとっては致命的な事象とはならない。そのことは、グリーンリーフの「殺人計画シナリオ」に沿って考えてみればわかる。
グリーンリーフの拳銃と鍵を携えたエディ・ケーンが、マロニーのアパートにやってくる。1)もし入り口に鍵がかかっていれば、エディは鍵が合わないので侵入できない。これで殺人は未遂。しかし、2)入り口が開いたままになっている。エディは鍵を使うことなく部屋に侵入し、殺人を遂行する。そして、鍵を床に置いて立ち去る。実際に起きたのはこれ。
そして、2)は、全く問題はない。なぜなら、グリーンリーフのシナリオでは、エディは、グリーンリーフを陥れるために、わざと鍵を現場に残していくのだが、現場に来たときにドアが開いていたので、エディは鍵を使うことがなかった。つまり、[エディには、「この鍵ではドアが開かない」ということを知るチャンスがなかった]ということを、[ドアが開いていた]ということを知っている者には洞察できるからだ(ここ肝心)。自分が置こうとしている鍵が、鍵としては「役立たず」なことを知らないエディは、ただただグリーンリーフを陥れるために鍵を現場に残していく。「合わない鍵」が[残してあったこと=エディが残していったこと]自体には、何の問題も不合理もない。そして、このことを警察(コロンボ)が知っているなら、やはりそこ点からは何の問題も不合理も生まれない。
つまり、グリーンリーフの当初のシナリオにとって、マロニーが錠を取り替えていたこと自体は、結果として問題にはならなかったし、実際、後から、エディに「ドアが開いていた」ことを聞いたグリーンリーフも、なーんだそんなことだったかと、思っている。
この[本来問題ではなかった突発事象]を問題にしてしまったのは、実はグリーンリーフ自身なのだ。コロンボが用意した[第3の錠]に合う鍵をわざわざ用意して、エディに持たせてしまったのは、全く余計なこと。グリーンリーフが本当にやらなければいけなかったのは、[殺人当夜、マロニーの部屋のドアは開いていた]ということをコロンボに「気づかせる」ことだった。いや、コロンボは気づいているのに、グリーンリーフをハメるためにわざとトボけているんだから、それはむずかしい。だから、ただ放っておけばよかったのだ。合わない鍵を持っていたエディがマロニーの部屋に侵入するには、ただドアが最初から開いてさえいればよかったのだし、事実そうだったのだから。
しかし、実を言うと、グリーンリーフの当初の殺人シナリオは、マロニーの錠交換のような[不測の事態]なしで進行しても、最後に用意した「梗概」の結末の不整合のせいで、結局、失敗に終わる。なぜなら、「爆弾魔エディが9ヶ月前に書いた梗概」は、当初から警察(コロンボ)に読ませる計画だったのに、それを書いたのは、盗み読んだ原稿のその結末が、実は一週間前に変わったばかりだということを少しも知らないグリーンリーフ自身だったからだ。
ちなみに、原題の意味は、英語版のウィキペディアによると
“「出版するか、滅ぼすか」は、学業で成功するために学業を発表する圧力を説明する格言です。このような制度的圧力は、一般的に研究大学で最も強い。一部の研究者は、パブリッシュまたは滅亡する環境をレプリケーションの危機の要因として特定しました。 成功した出版物は、学者とその支援機関に注目を集めます”