『コロンボ』第23話「愛情の計算」MIND OVER MAYHEM
謎解きとは関係のない「日本語吹き替え版」の謎。
事件現場に来たコロンボは、被害者が曜日ごとに使い分けていたパイプのうち、木曜日の分のパイプがないことに気づく。そこで、近くの誰かに、今日は何曜日かを確認するのだが、英語版と日本語吹き替えで曜日が違っているのだ。
英語版では「今日は金曜日だよね」と訊き「そうです」と答えられ「ということは、昨夜は木曜日だ」と独り言を言う。
一方、日本語吹き替えでは、「今日は木曜日だよね」と訊きやはり「そうです」という返事をもらい「と言うことは、昨夜は水曜日か」と言う。
この曜日の違いのせいで、事件の謎解きに破綻が生じるようなことはないのだが、視聴者は、1)前夜に被害者が死んでいて、2)パイプ置きは「木曜日」のところが空になっているところがバッチリ画面に映し出されているのを見せられているのに、吹き替え版のコロンボがいうとおり「今日」が木曜日で、昨夜が「水曜日」なら、被害者は水曜日(昨夜)に、木曜日のパイプを使っていたことになり、余計な混乱が生じるのではないか? つまり、コロンボオタクは、「細かいことが気にになる」連中に違いないだろうから、きっと、この曜日の混乱も気になって仕方がないはず。少なくとも、アタシは気になる。
ところで、ちなみに。原題「MIND OVER MAYHEM」の意味だけど。英語には、mind over matterという表現がある。「物質に勝る精神」というような意味。要するに、日本人の大好きな「精神論」のスローガンのような言葉。「心頭滅却すれば火もまた涼し」的な。で、mayhemは「騒乱」とか「破壊行為」とか、あるいは法律の「身体傷害罪」というような意味。ということは、原題の「MIND OVER MAYHEM」は、「騒乱を乗り越える精神」とか「意志の力で混乱を克服すること」的な意味になる。のか?
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今日観た『剣客商売』シリーズ4の第3話「ぶんたろの命」は、「秋山小兵衛 meets 仕掛け人」だった。ゲストは、長門裕之。仕掛け人の元締め。久しぶりに動いている長門裕之を見た。
池波正太郎の『仕掛人藤枝梅安』が元ネタの『必殺』シリーズで、長年、殺し屋中村主水を演じた藤田まことの口から、剣士の道を踏み外して裏稼業をやるようになった男のことを私も一人知っていると聞かされた、全国の『必殺』ファンは、「そりゃあんた自身だろう」と突っ込んだはず。