2020年11月8日 日曜日/晴
√今生きている人間の知性現象を、他の「媒体」に移し替えるのは実現不可能なほど困難だろう。というのは、今生きている人間の知性現象は、自らの身体のアリヨウからカオス的な影響を受けているからだ。しかし、最初から、他の媒体に移しかえることを前提にして作り上げられた知性現象なら、移し替え可能のはずだ。そうして「生まれた」知性現象は、原理的には半永久的に存在し続けることができる。すなわち「不死」である。
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√『ワイドなショー』でのアメリカ大統領選に対するまっちゃんと、外交問題専門家という女の人の話がまるで噛み合ってなくてオモシロかった。両者のすれ違いは、レストランの話に譬えるとわかりやすい。
レストラン「アメリカ」でトランプが料理長を3年以上やった。4年目に、料理長を変えるかどうかの話が持ち上がった。新しい料理長候補がバイデン。店の常連客を集めて、トランプとバイデンで料理対決をやり、得票数の多かった方を次の料理長にすることになった。投票の結果は大接戦。票は真っ二つに分れてしまった。これはつまり、トランプが3年以上に渡って自分の料理を振る舞った(自分の味に慣らしたはずの)常連客の二人に一人が、トランプの料理よりもバイデンの料理の方がいい、言ったことになる。この事実を捉えて、まっちゃんは、実質トランプの負けだろうと言っているのだ。
外交問題の専門家の人が言っていることはこう。常連客の中には、トランプがメニューに入れていたハンバーガーがとても気に入っている者たちがいる。しかし、バイデンは自分が料理長になったらハンバーガーをメニューから外すと言っている。ハンバーガーを食べ続けたい常連客は是が非でもトランプに料理長を続けてもらいたい。だから、たとえ一票差でも勝ちにこだわる。現役が半分の支持しか得られなかったらこれは負けだね、などと、まっちゃんみたいな「ぬるま湯」な視点は持ち得ない(「ぬるま湯」って、エリート根性まるだしの連中の常套句だよね)。「ぬるま湯」とはこの場合、レストラン「日本」では料理長が変わってもメニューは変わることはないだろうという安心感のこと。
まっちゃんは(芸人ゆえに)、支持を集める側の「人気者」の視点で「実質負けだ」と言ってるのに対し、外交問題の人は(学者ゆえに)、みんな(支持者=社会)の側の視点で「そう簡単に負けは受けれられない」と言っている。