▼赤い部屋に帰ってきたMr. Cが炎で燃えながらソファに座っている。
▼片腕の男が、黄金の玉のCooperの髪の毛に「Erectricity」と呪文をかけて(電気を与えて)、新しいDougieを作る。Dougie(にっこり微笑んで)「Where am I?」。赤いドアの部屋に飛んで、Dougie、家族の元に帰る。Dougie「home」
▼前回の〔暗い森の中〕を若いLauraの手を引いて歩く老いたCooper。針飛びのような音がして、Lauraが消えて、叫び声が聞こえる。気がつくと、赤い部屋のソファに座っているCooper。片腕の男が言う「Is this future, or is it past?」→Cooperの目の前から片腕の男が消える。片腕の男が部屋の隅からCooperに手招きして、「進化した腕」との面会(第1章と同じ)
進化した腕「Is it the story of the little girl who lived down the lane? Is it?」
〔25年後のLaura〕(Carrie・ペイジ?)が25年後のCooperに耳打ちし、Cooperが怪訝な顔で「Huh?」と言う。その後、Lauraは叫び声をあげて、空中に吸い込まれる。それを驚いた様子で見送るCooper。その後、別の部屋に行って、歳をとったリーランドに会う。リーランドが「Find Laura」とCooperに言う。Cooperが歩きながら右手を動かして赤いカーテンから外に出ると、そこは、ゴーストウッドの森のシカモアの気があるところで、そこにDiane(赤い髪)が待っている。お互いに、「本物のあなたね」「本物の君だね」と確認しあう。
▼夜が明ける。CooperとDianeはものすごく古い年式の車(フロントガラスにLet's Rockと書かれた状態で見つかった[チャット・デズモンドの車]にも見える)でハイウェイを走っている。走りながらCooperが、「もうすぐポイントに来る。感じるんだ」と言ったあと、走行距離メーターを示して「Look. Almost exactly 430 miles」と言う。「430」は、第1章のドアタマでFiremanがCooperに「覚えておくように」と言った数字。
Cooper: This is the place, all right. Kiss me. Once we cross, it could all be different.
Diane: Let's go.
Cooperがエンジンを切った状態の車で坂を下ると、電気がビカビカなって、気がつくと、二人は同じ車で、夜のハイウェイを走っている。二人は古そうなモーテルに泊まる(7号室)。Cooperが受付で手続きをする間、車の中で待っていたDianeは、外のモーテルの柱の陰に、もう一人の自分の姿(同じ格好)を見る。
Lynchが演出する際に「25年ぶりの『Blue Velvet』」と言ったらしい場面。ここで、流れるのは、PART 8のWoodmanがラジオ局を襲撃して、謎の「井戸の詩」を暗証し続けたときに流れていたThe Plattersの「My prayer」。ここから類推できるのは、CooperとDianeがベッドインしているのは、あの時代ということ。すなわち、セーラがまだ少女だった時代。
@セックスは天然の麻薬→別の世界へのクスリ。翌朝Cooperが目を覚ますと、Dianeの姿はない。ベッドサイドにメモがある。メモの内容 "Dear Richard...(Cooper: Richard?) 」When you read this, I'll be gone. Please don't try to find me. I don't recognize you anymore. Whatever it was we had together is over. Linda." RichardとLindaも、第1章のドアタマでFiremanがCooperに覚えておくように言った名前。
部屋の外に出ると、モーテルが二階建ての新しいものになっていて、自動車も最新型になっている。Cooperはその車のキーを持っており、躊躇なくロックを解除するが、乗り込むまえに、モーテルが変わっていることに少し怪訝な顔をする。そもそも地理的な場所からが違うはず。「Odessa CITY LIMIT POP.99940」の標識を通り過ぎて進み、偶然「JUDY'S COFFEE SHOP」という看板を見つけ、その店に入る。*ウエイトレスの役名(エンドロール)からオデッサはテキサス州らしいことがわかる。
Cooper: Is there another waitress that works here?
Kristi(waitress=Francesca Eastwood): Yeah. It's her day off. Actually, it's her third day off.
店内で地元のごろつきカウボーイ三人と一悶着(ゴロツキたちの拳銃を3個とも、フレンチフライ揚げの油の中に入れるCooper)
ウェイトレスに、もう一人のウェイトレスの住所を紙に書いて渡すように言う。
心配するウェイトレスにCooperが「It's okay. I'm with the FBI.」と言う。
渡されたメモの住所(1516)に来たCooper。すぐそばに、「6(32481..)」のナンバープレートが取り付けられた木製の電柱が電気の音を唸らせている。
Cooperがドアをノックする。
Carrie「Who is it」
Cooper「FBI」
Carrie(ドアを開けて)「Did you find him?」
Cooper「Laura」
Carrie「You didn't find him?」
Cooperが君はLauraと名乗っていたことはなかったかと聞くと、Carrieは私はその人じゃないと言う。
Cooper「What's your name?」
Carrie「Carrie Page」
Laura・パーマーという名前にも、父親がリーランドだったということにも反応がなかったが、君の母親はセーラだ、と言われ、セーラという名前にだけ動揺と思い当たる仕草を示すCarrie。
Carrie「What's going on?」
Cooper「It's difficult to explain.」「I want to take you to your mother's home...your home at one time. It's very important.」
普通ならあなたのようなおかしな奴など追い返すんだけ、今は事情が事情だから、一緒に行くというCarrie。Twin Peaksは遠いのかと訊くCarrie
Carrie「It's a long way?」
Cooper「It's a ways away.」
部屋に入ったCooperは、部屋の隅に拳銃で額を撃ち抜かれた男の死体がソファに座っている(後ろの壁に飛び散った血)のを見つけるが、スルーする(さらに、壁に白い馬の置物も見つける。床には突撃ライフルのようなヘビーガンもある)。Carrieも、銃殺死体のことには、あたかもそんなものは存在してないかのように、一切触れないし。「コートいるかしら?」「食べ物はいる?」とCarrieがCooperに聞く直前に部屋の電話が鳴り出すが、Carrieは一切出る気配はない。車の中で、Carrieに問われて、FBIのバッジを見せるCooper。
▼夜のハイウェイをずーっと走る二人。後ろをついてくるヘッドライトを気にするCarrie「つけられてるのかも」。しかしヘッドライトの車はそのまま追い越して行く。*このTwin Peaksへと「戻る」長い長い夜のハイウェイの道中は、長い物語の「デリート」の作業状況を表すメーターを表してるじゃないか? このメーターが進行して行くということは、どんどん「Twin Peaks」の物語が消えて行ってるということを。
▼夜中に、セーラ・パーマーの家(Lauraの家)に到着する二人。Carrieは全く見覚えがないという。ドアをノックするCooper。出て来たのはセーラではない、全くの別人。住んでいるのは、その女と、彼女の夫(夫は声だけで姿は見せない)。セーラ・パーマーはいるかとCooperが訊くと、「誰って?」と聞き返される。女は言う。ここにそんな名前の人はいないし、私はそんな人知らない。この家は私たちの持ち家だ。Cooperが誰から買ったのか尋ねると、女は夫に尋ね、「Mrs.Chalfont」と答える。さらに、その前の家の持ち主は知らないと言う。Cooperが女の名前を尋ねると、女は「Alice Tremond」だと答える。それを聞いて、何か納得したのか引き下がるCooper←Mrs.ChalfontとAlice Tremondは、ハロルド・スミスの隣に居た謎の住人の名前であり、ファットトラウトトレーラーハウスにも居た謎の住人の名前である)。
▼道路に降りたCooperとCarrie。Cooperが家の方に振り返り、何か思いついたように、突然体をかがめて、「What year is this?」と独り言を言う。それを聞いたCarrieが家を見上げると、どこか遠くでセーラの声で「Laura」と聞こえる。それを聞いたCarrieが一瞬震え、次の瞬間、例の叫び声をあげる。驚いて振り返るCooper。その時、家の明かり、というか家そのもの(世界そのもの)がバチンと音を立てて消え、あとはCarrie(Laura)の叫び声だけが聞こえる。
▼エンドロールは、赤い部屋で、25年後のLauraに耳打ちされて、「Huh?」と言う瞬間の25年後のCooperの超スローモーションが行ったり来たりしている映像。曲は、low of space
@Part 18の副題は、一見すると、Cooperが、Odessaに転生したLaura(Carrie Page)に発したセリフだと勘違いするが、そちらは「What's your name?」と短縮形になっている。短縮なしの「What is your name?」というセリフは、CooperがLaura (Carrie)を連れて、Twin PeaksのSarahの家を訪ねた時、応対に出たTremond夫人に対して言う。
@クーパーがダイアンとモーテルに行ったときに流れるBGM『My prayer』は、Episode 8で、Woodmanに襲われたラジオ局が流していた曲。つまり、「境界線」を超えて、いつだかは分からない「過去」に行ったクーパーとダイアンだが、その過去は、例の「Gotta light?」事件が起きた年であるという暗示か?
@(2020年11月17日 火曜日)
このPART18で、境界線を超えたMotelでCooperに起こったことは、『Lost Highway』で刑務所のFredに起こったことと同じだろう。Fredの場合は、姿形が変わってしまっているが、あれは、「やかん」のジェフリーズが言うとこと「非公式バージョン」のFredなのだ。そこでは、別のバージョンのレネエすなわちアリスと、別のバージョンのディック・ロレントすなわちMr.エディがいる。ちょうど、「境界線」を越えてRichardに「なった」Cooperがいる「非公式バージョン」の世界では、オデッサでウェイトレスをいている別のバージョンのローラすなわちキャリー・ペイジが生きているように。