2020年9月6日日曜日

4-1

小さい女

足を引っ張られて目が覚めた。

雪に埋もれている。

「死神は追っ払ったから」

おかしな声。

足の方を見る。

足を肩に担いだままの小さい女。

「アブナカッタわ」

小さい女は虫声(むしごえ)。

「この足はあなたの足」

脛をパンパンと叩く。

「そうは思えないでしょうけど」

たしかに。

なぜ、他人の足をつけたのか?

そして、どうやって?

興味が湧く。

「マヒのせいよ」

虫声の小さい女はそう言ってで頷く。