夜の散歩。
明るいコンビニの店内。
レジに店員はいない。
客がひとり。若い男。立っている。
缶珈琲を持って、煙草を指差す。
店員を探して頭を動かす。
苛立って騒いでいる。
実は休憩室に店員はいる。
オーナー店長である。
深夜のアルバイトは募集中。
店長は廃棄弁当で夜食を済ませたところ。
監視カメラのモニターに目をやる。
画面内の店は依然として無人である。
店長はタブレット端末に戻る。
若い男はついに諦める。
缶珈琲をレジに放置して出口に向かう。
ドアを開けたところでスッと消える。
それから冷蔵庫の前にフッと現れる。
扉を開け、缶珈琲を一本手に取る。
機嫌は良さそうだ。
少なくとも不機嫌ではない。
レジに向かう。
レジには誰もいない。
店員を探す。
聞こえない大声で煙草を指差す。
休憩室の店長はふと顔を上げる。
店内モニターの画面を見る。
無人。
しかし今度は腰をあげる。
休憩室のドアを開けレジを見る。
誰もいない。
店の外からは二人が見える。
休憩室から顔を出した店長。
レジ前で店員を探す若い男の客。
二人の目線の先にはお互いがいる。
それが店の外からだとわかる。
しかし店長は休憩室に戻る。
客は缶珈琲を放置して出口に向かう。
毎週月曜25時25分から25分間。
缶珈琲と煙草を決して買えない客。