2020年9月8日火曜日

6-2


√ 分からないのは訛りのせいだ


島に上陸した。

船は帰った。

老人が網の手入れをしている。

百年も海を彷徨いたような顔の皮膚。

呼びかけて訊いてみた。

地元の老漁師は網の手入れの手を止めた。

島の奥の斜め上を指差す。

島の山の頂に白い建物。

歯を見せて頷く。

それから何かを教えてくれる。

しかし分からない。

分からないのは訛りのせいだ。

老漁師の瞳の黒は皆薄い。