2020年9月1日火曜日

5-6


√夜明け前の雑居ビルの屋上から人影が飛び降り、目の前の地面で鈍い音を立てる。それはピンクのウサギの着ぐるみ「バニーマン」。裏通りは静かだ。うつ伏せに倒れていたバニーマン。むくりと起き上がる。着ぐるみの顔は笑顔だが、白いはずの口まわりは血の色に染まっている。通用口から、ビルの中に戻るバニーマン。しばらくすると、また、屋上からバニーマンが落ちてくる。そして、また。起き上がってビルの中へ。5回目に落ちた時、起き上がったバニーマンの後を追った。足取りは重い。ついていくのは簡単だ。バニーマンは従業員専用のエレベータの前に行き、ボタンを押す。エレベータが最上階が降りてきて、トビラを開く。バニーマンが乗り込むすぐ後に続く。エレベータが昇っている間にバニーマンの口まわりの血の色が消えて、白に戻る。鍵を壊して屋上に出ると、高い柵を乗り越えて、すぐに飛び降りる。後ろで猫が見ていた。金色の目。